レンピーラ県
レンピーラ県(Lempira)はホンジュラス西部に位置し、東はインティブカ県、西はコパン県およびオコテペケ県、北はサンタ・バルバラ県、南はエルサルバドルと接しています。総面積は約4,300㎢で、日本の京都府よりやや小さい規模です。県は28の市から構成されており、県都はグラシアス市(Gracias)です。
県の中央部にはセラケ山(Montaña Celaque)がそびえ、その主峰ミナス岳(Cerro las Minas)は標高2,870mで、ホンジュラス最高峰として知られています。他にもプカ山(Montaña Puca)やオパラカ山(Montaña Opalaca)などの高山が連なり、自然の要塞のような地形を形成しています。
県都グラシアスは、植民地時代初期にコンフィネス王立裁判所(Audiencia de los Confines)が置かれ、数年間だけ中米の行政中心地として機能した歴史を持ちます。現在では、当時の面影を残す歴史的な街並みと雄大な自然を活かした、国内でも人気の観光地の一つとなっています。
レンピーラ県(Lempira)の名称は、この地で生まれた先住民レンカ族の首長、「カシケ・レンピーラ(Cacique Lempira)」に由来しています。「カシケ(Cacique)」とは首長を意味し、彼はこの地域一帯に暮らしていたレンカ族のトップでした。
レンカ族はスペインの侵略に対し、ホンジュラス国内でも最も激しく抵抗した民族として知られています。レンピーラは各地の村をまとめ上げ、スペイン軍を長期間足止めすることに成功しましたが、彼の死後は統率を失い、やがてレンカ族の抵抗は終わりを迎えます。その後、ホンジュラス全土がスペインの支配下に置かれました。
レンピーラは今もホンジュラス人の誇りとアイデンティティを象徴する存在であり、彼が生まれ、そして命を懸けて戦ったこの地の名として、その名が受け継がれています。また、ホンジュラスの通貨単位にも彼の名が刻まれています。
1レンピーラ紙幣の「カシケ・レンピーラ」
グラシアス市はレンピーラ県の県都であり、国内においても重要な観光地の一つです。町全体がホンジュラスの歴史を象徴する場所となっています。
植民地時代、この地には統治機関である「コンフィネス王立裁判所(Audiencia de los Confines)」が設置され、一時期は中米地域の行政の中心地となっていました。その時代に都市整備が進められ、現在のグラシアスの基盤が形づくられました。
昔ながらの素朴で趣のある街並みに加え、「セラケ国立公園(Parque Nacional Celaque)」と、その中にそびえるホンジュラス最高峰「セラケ山ミナス岳(Cerro Las Minas)」には、壮大な雲霧林が広がり、多種多様な動植物が生息しています。運が良ければ、ケツァールやオオミチバシリ、コンゴウインコなどの希少な鳥類に出会うこともできます。
また、美しいバロック様式のカトリック教会や、市内にある静かな公園、天然温泉なども、グラシアスの魅力をさらに引き立てています。
サンクリストバル要塞
(Fuerte San Cristóbal, Gracias)
1850年にフアン・リンド大統領の指揮の下で
隣国との内戦を危惧して建設された要塞です。
セラケ国立公園
(Parque Nacional Celaque, Gracias)
ホンジュラス最高峰「ミナス岳」がある国立公園。
手つかずの壮大で美しい大自然を体感できます。
ラ・メルセド教会
(Iglesia La Merced, Gracias)
グラシアス市内に4つあるコロニアル教会の一つで、
特に豪華な装飾と歴史を持ち合わせる教会です。
プレシデンテ温泉
(Aguas Termales Presidente, Gracias)
グラシアスの中心地から5㎞ほど離れた場所にある温泉。
一番熱いお風呂で40℃近い温水が湧き出ています。
中央公園とサン・マルコス教会
(Parque Central, Iglesia San Marcos, Gracias)
グラシアスの中心地にある公園と隣接する教会で、
広々とした公園では屋台やお土産の販売が行われています。
ラ・カンパ市(La Campa)
ラ・カンパ市は、グラシアスから車でおよそ20分ほどの場所にある町で、グラシアスと合わせて観光されることが多い地域です。小さな町なので、半日あればその魅力を十分に味わうことができます。
この町の一番の見どころは、何と言っても中米で最も高いジップライン「キャノピー・エクステルモ・ラ・カンパ(Canopy Extremo La Campa)」です。最大約350mの高さを誇り、全6本のケーブルを滑り抜けながら地上へと戻ります。壮大な渓谷の上を、まるで鳥になったかのような気分で翔け抜ける体験は圧巻です。
また、ラ・カンパは伝統工芸である「レンカ陶芸(Alfarería Lenca)」でも知られています。町のあちこちに工房や販売所が点在しており、温かみのある独特の色合いと、ろくろを使わずに手作業で仕上げる素朴な風合いが特徴です。一つ一つの作品に個性とぬくもりが感じられ、お土産としても人気があります。
グラシアスを訪れる際には、ぜひ足を延ばして立ち寄りたい町のひとつです。