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古都「グラシアス」特集
古都「グラシアス」特集
グラシアスは、中米の中でも有名な観光地と比べると、まだまだマイナーな存在です。しかし、首都テグシガルパから離れた西部に位置していることから、「少し足を延ばして旅をしたい」国内旅行者にとっては、人気の高い目的地のひとつでもあります。また、グアテマラやエルサルバドルと国境を接する地域に近いため、近隣国から訪れる観光客も多く、国境を越えた周遊ルートの立ち寄り地としても知られています。
この町の最大の魅力は、豊かな観光資源を持ちながらも、過度な観光地化が進んでいない点にあります。古き良きホンジュラスのコロニアル都市の雰囲気が町全体に残り、それを雄大な山々が静かに取り囲んでいます。
比較的小さな町であるため、2泊3日でも市内の主要な見どころを十分に楽しむことができます。一方で、グラシアスまでの移動には時間がかかることや、周辺にあるラ・カンパ市やコロエテ市などにも見どころが多いことから、3泊4日〜4泊5日ほどの滞在がおすすめです。
以下では、グラシアスを訪れたらぜひ足を運びたい、おすすめの観光スポットをご紹介します。
昼下がりのグラシアス
サン・クリストバル要塞
(Fuerte San Cristóbal)
グラシアスを象徴する、アイコン的存在の要塞です。かつて交通の要所であったこの町を防衛するため、1840年代、隣国との関係が不安定だった時代に構想が始まりました。エルサルバドルやグアテマラ方面からの侵攻に備えた防衛拠点として計画されましたが、資金不足などの影響もあり、完成したのは1875年頃とされています。現在では、町と周囲の山々を一望できる展望スポットとしても人気があり、グラシアスを訪れた際にはぜひ立ち寄りたい場所のひとつです。
セラケ山国立公園
(Parque Nacional Celaque)
町の中心部から車で約15分の場所に広がる、ホンジュラス屈指の国立公園です。園内には、ホンジュラス最高峰であるセロ・ラス・ミナス(Cerro Las Minas・標高2,849m)がそびえています。山頂までの登山には通常2日を要し、ビジターセンターより先へ進む場合は、必ず公認ガイドの同行が必要となります(ガイド情報はページ下部に記載しています)。一方で、ビジターセンター周辺にある川や展望スポットは、ガイドなしでも気軽に訪れることができます。グラシアスのすぐ近くで、雄大な雲霧林の自然を体感してみてはいかがでしょうか。
ラ・メルセド教会
(Iglesia la Merced)
グラシアスに残る4つのコロニアル教会のひとつで、市内の教会の中では最も古いとされています。16世紀半ばに建設が始まったとされ、これまで幾度も大地震による深刻な被害を受けながらも、そのたびに再建・修復が重ねられてきました。夜になるとライトアップされることが多く、重厚で迫力あるファサード(正面装飾)が、昼間とはまた違った表情を見せてくれます。なお、このライトアップ設備は、現地の学校で電気工学を教えていたJICA海外協力隊員が、生徒たちと協力して設置したものだそうです。
サン・セバスチャン教会と広場
(Iglesia San Sebastián, Plaza San Sebastián)
サン・クリストバル教会の近くに位置するコロニアル教会です。現在の建物は1930年に建てられたものですが、その歴史は18世紀までさかのぼり、もともとはラ・メルセド教会の正面に建っていたとされています。教会を囲むように広がる広場には、コーヒーや軽食を販売するキオスクや、電源付きのベンチが設置されており、地元の人々の憩いの場として親しまれています。また、この広場には2018年にギネス世界記録に認定された「世界一大きなコーヒーカップ」があり、現在は記録を更新されてしまったものの、町のユニークなシンボルのひとつとなっています。
グラシアス中央公園
(Parque Central)
市役所やサン・マルコス教会に隣接する、グラシアスの町の中心にある公園です。園内には首長レンピラの銅像が立ち、コーヒーやお土産、軽食を販売するキオスクや屋台が並びます。広々とした空間で、市民が思い思いに時間を過ごす、グラシアスの憩いの場となっており、各種イベントも頻繁に開催されています。
サン・マルコス教会
(Iglesia San Marcos)
グラシアスに残るコロニアル教会のひとつで、中央公園に隣接しています。大きさや重厚なファサード(正面装飾)も見どころですが、内部の祭壇に施された木枠装飾には、地元の工芸技術が生かされています。町の中心に位置する建物のため、碁盤の目状に道が延びるグラシアス市内では、方向を見失った際の大きな目印としても役立ちます。
サンタ・ルシア教会
(Iglesia Santa Lucía)
グラシアスに残るコロニアル教会のひとつで、中心地から少し離れたメヒカパ地区(Mejicapa)に位置しています。この地区は、征服時代に戦闘要員として連れてこられたメキシコ系先住民族が暮らしていた場所です。年に一度、「グアンカスコ(Guancasco)」と呼ばれる祭りが、市内のサン・セバスチャン教会とともに行われます。これはレンカ族の儀式に由来し、キリスト教化の過程で先住民族の信仰と結びつけられた行事で、現在では地区同士の友好や交流を象徴する伝統として受け継がれています。写真3・4枚目はその様子です(写真提供:Mancomunidad COLOSUCA)。
プレシデンテ温泉
(Parque Central)
グラシアス中心部から車で約10分の郊外にある天然温泉です。一番温かい浴槽(プール)は約40℃とされ、肩までしっかり浸かることができます。最深部は約2mあり、のびのびと泳げるのも特徴です。敷地内では軽食や飲み物の販売も行われており、お酒を飲みながらゆっくり過ごせる点も、この温泉の魅力のひとつでしょう。なお、周辺には電波が届きにくく、タクシーも常駐していないため、訪れる際はあらかじめ帰りの時間をタクシー運転手に伝え、迎えに来てもらうよう手配しておくと安心です。
カサ・ガレアーノ博物館
(Casa Galeano)
1915年の大地震でグラシアスのほとんどの建物が倒壊しましたが、このカサ・ガレアーノは倒壊を免れた数少ない歴史的建造物のひとつです。ガレアーノ家は、この地域で大きな影響力を持っていた名家で、現在はコロニアル様式の博物館として公開されています。館内には数は多くありませんが、当時のグラシアスの上流階級が使用していた骨董品などが展示されています。また、裏庭は小さな植物園として整備されており、グラシアス周辺に自生する植物を見ることもできます。
ラ・カンパ市は、グラシアスから車で約20分の場所にある町で、グラシアスと合わせて観光されることの多い地域です。小さな町のため、半日あればその魅力を十分に味わうことができます。
この町の一番の見どころは、中米で最も高いジップラインとされる「キャノピー・エクステルモ・ラ・カンパ(Canopy Extremo La Campa)」です。最大約350mの落差を誇り、計6本のケーブルを滑り抜けながら地上へと戻ります。壮大な渓谷の上を、まるで鳥になったかのような気分で翔け抜ける体験は圧巻です。
また、ラ・カンパは伝統工芸であるレンカ陶芸(Alfarería Lenca)でも知られています。町のあちこちに工房や販売所が点在し、お土産としても人気があります。
なおジップラインの予約は必須ではありませんが、天候や状態によって運休している場合や、6本すべてが使用できない場合があります。そのため電話で直接確認しておくと安心です。
キャノピー受付の電話番号「+504-9659-6453(2025年9月)」
サン・マヌエル・デ・コロエテ市は、グラシアスから車で約1時間の場所にある小さな町です。この町には1721年に建設された、ホンジュラス国内で最も古い教会があり、アメリカ大陸におけるバロック建築の傑作のひとつと評されています。
また、ホンジュラス最高峰であるセラケ山にも接しており、山頂を目指す登山口のひとつが設けられています。こちらはグラシアス側のルートと比べて比較的登りやすく、途中まで馬で向かうことも可能です。そのため、体力にあまり自信のない方には、コロエテ市側からの登山が推奨されています。
セラケ登頂をコロエテ側から目指す際の中継地として利用するのがおすすめです。
サンタ・ロサ・デ・コパン市は、グラシアスのあるレンピーラ県の隣、コパン県の県都です。グラシアスから車で約1時間の距離にあり、バスの本数も多く、比較的訪れやすい町のひとつです。
グラシアスと同様にコロニアル都市ではありますが、人口が多く交通量も多いため、より活気のある雰囲気が漂っています。市内観光に加え、グラシアスからサン・ペドロ・スーラ方面やコパン・ルイナス方面へ向かう際の交通の拠点としても便利で、周遊旅行の中継地として利用されることも多い町です。
また、国内有数の葉巻の産地として知られ、お土産としても人気があります。さらにコパン県はコーヒーの産地としても有名で、町中に点在するカフェで、フレッシュなコーヒーを楽しむのもおすすめです。