ラ・パス県
ラ・パス県は、ホンジュラス南西部に位置する県で、東はフランシスコ・モラサン県、西はインティブカ県、北はコマヤグア県、南はバジェ県およびエルサルバドルと接しています。総面積は約2,500㎢で、日本の神奈川県よりやや大きい規模を有しています。県は19の市から構成され、県都はラ・パス市(La Paz)です。
ラ・パス県は、国内でも比較的冷涼な気候を持つ地域として知られており、県内の多くを山岳地帯が占めています。その地形を生かし、西部に位置するマルカラ市では、ホンジュラス有数のコーヒー生産地として知られています。またこの地域には、かつてホンジュラス国内で最大の先住民族であったレンカ族の文化や伝統が今も色濃く残っており、隣接するインティブカ県と共通した文化的雰囲気を感じることができます。
観光地として国内外で広く知られている場所ではありませんが、派手さのない分、ホンジュラスの素朴な暮らしや人々の日常を身近に感じられる地域だと言えるでしょう。静かな山間の町々を巡りながら、この国で生きる人々の穏やかな時間の流れに触れてみるのも、ラ・パス県ならではの魅力の一つです。
ラ・パス県の名称の由来については、明確な史料は残されていませんが、国内外のスペイン語圏に同名の地名が多く存在することから、キリスト教的価値観に基づいて名付けられたと考えられています。「ラ・パス(La Paz)」は、日本語では「平和」を意味します。
現在の名称が用いられる以前、この地に暮らしていたレンカ族は、地形的特徴からこの地域を「石の場所」と呼んでいました。1791年の人口調査においても、この地は「石の谷」を意味する「バジェ・デ・ラス・ピエドラス(Valle de las Piedras)」という名称で記録されています。その後、1869年にラ・パスという名の県が正式に設立され、現在に至ります。
県西部に位置するマルカラ市(Marcala)の名称については諸説ありますが、最も有力とされているのが、レンカ語の「監獄の地」に由来するという説です。周囲を山々に囲まれ、外部からのアクセスが非常に困難な地形であることから、天然の要塞のような場所であったと考えられています。部族間の争いや内戦に敗れた人々がこの地に定住したことが、現在のマルカラ市の名前の起源になったと伝えられています。
マルカラ市のレタラ(Plaza Marcala, Marcala)
大天使サン・ミゲル教会(Parroquia San Miguel Arcángel, Marcala)
県西部に位置するマルカラ市は、ホンジュラスの素朴な小さな町の雰囲気を今も残しながら、いくつかの見どころある観光地を有する町です。グラシアス市やエスペランサ市など周辺地域からのアクセスも比較的良く、短期間の小旅行先として人気があります。
紀元前から人が暮らしていたとされる洞窟、「エル・ギガンテ洞窟(Cueva El Gigante)」や、その近くにある迫力ある滝、「エスタンスエラの滝(Cascada La Estanzuela)」は、特に人気の高い観光スポットです。さらに、ゴーカートのサーキットや、森の中を滑走するジップライン(キャノピー)など、自然を生かしたアクティビティも楽しむことができます。
しかし、何よりもこの町の最大の魅力はコーヒーだと言えるでしょう。町中には多くのカフェがありますが、日本人のあなたに特におすすめしたいのが「Aroma Café」です。コーヒーの圧倒的な味わいはもちろんのこと、元海外協力隊員で、現在は日本・愛媛県でカフェを営むカトラッチャ珈琲焙煎所さんとも深い関わりを持つお店として知られています。マルカラを訪れた際には、ぜひ立ち寄ってほしいカフェの一つです。
エスタンスエラの滝
(Cascada La Estanzuela)
迫力のある滝を浴びれるほど、
落ちそうになるほど近くで見れます。
エル・ギガンテ洞窟
(Cueva El Gigante)
紀元前に人が住んでいた洞窟。
中には入れませんが、展望台から中を見ることができます。