Francisco Morazán
Francisco Morazán
08.フランシスコ・モラサン県
ホンジュラス中央にある「フランシスコ・モラサン県」の概要、名前の由来、人口、代表的な観光地をご紹介します。
フランシスコ・モラサン県はホンジュラスの中央部に位置し、東はオランチョ県とエル・パライソ県、西はコマヤグア県とラ・パス県、北はヨロ県、南はチョルテカ県およびバジェ県と接しています。総面積は約7,900㎢で、日本の静岡県よりひと回り大きい規模です。県は28の市から構成され、県都は首都テグシガルパ(Tegucigalpa)であり、「セントラル地区自治体(Municipio del Distrito Central)」が行政的に一つの市として機能しています。この自治体にはテグシガルパとコマヤグエラ(Comayagüela)という二つの都市エリアが含まれており、両市は首都圏を形成しています。
首都テグシガルパがあるこの県は、まさにホンジュラスの政治・経済・文化の中心地。行政やビジネスの拠点であるだけでなく、食やショッピングの選択肢も豊富で、国内の他地域では味わえない多国籍料理が楽しめます。
また、かつて鉱山で栄えた歴史を持つ小さな町々が周囲に点在しており、美しいコロニアル様式の街並みが今も残ります。首都から日帰りで訪れられる場所が多いため、週末には多くの人が観光や小旅行を楽しむ人気エリアとなっています。
フランシスコ・モラサン県の名前は一人の人物に由来します。フランシスコ・モラサン(José Francisco Morazán Quesada)はホンジュラス出身の軍人・政治家で、中央アメリカがスペインから独立した後に成立した中央アメリカ連邦共和国(República Federal de Centroamérica)の大統領としても知られています。
彼は1792年10月3日にテグシガルパで生まれました。若い頃、テグシガルパ市庁の秘書として行政に携わり、同時に国選弁護人として司法にも関わりました。これらの経験が、彼に行政と法の構造を深く理解させるきっかけとなりました。1821年の独立を契機に政治に関与するようになり、やがて自由主義派の指導者として台頭しました。1827年11月のラ・トリニダードの戦いで勝利し、1829年4月にはグアテマラ市を一時占領。彼は1830年代に中央アメリカ連邦の大統領を務め、教育の普及・報道の自由・政教分離など改革を行いました。
しかし、保守派からの強い反発と内紛により連邦は崩壊し、モラサン自身も1842年9月15日にコスタリカ・サンホセで処刑されました。彼の改革は必ずしも完全に実現されたわけではありませんが、現在のホンジュラスでは、自由主義と中米統合の理想を体現した人物として、国民的英雄の一人に数えられています。
5レンピーラ紙幣のフランシスコ・モラサン
エル・ピカチョ公園(Parque El Picacho, Tegucigalpa)
テグシガルパの北側の山の中に位置し、市内を一望できる絶景スポットとして知られています。 広大な敷地を持つこの公園には、動物園や展望台、複数のレストランなどがあり、一日を通してゆっくり過ごすことができます。入場料が必要ですが、その分治安面でも安心して滞在できる環境が整っています。
公園のシンボルとなっているのが、テグシガルパの町を見下ろす巨大なキリスト像(Cristo del Picacho)です。市民からはこの像が町を守っている存在として親しまれています。また園内の動物園は日本政府の支援によって整備された施設で、規模はそれほど大きくありませんが、さまざまな動物に加え、ホンジュラス固有の生き物を見ることができます。
市内中心部からはUberなどを利用してアクセス可能ですが、山の上に位置するため、帰りのタクシーを手配しにくいことがあります。特に日曜日の午後は混雑や待ち時間が発生することもあるため、早めの移動をおすすめします。
テグシガルパから車でおよそ30分、山の方へ進むと小さな町「サンタ・ルシア(Santa Lucía)」に到着します。標高が首都よりも高いため、11〜2月は少し肌寒く感じますが、年間を通して快適に過ごせる気候が続きます。
サンタ・ルシアはかつて鉱山の町として栄え、現在では首都から気軽に訪れる日帰り観光地として人気です。町の象徴でもあるラグーナ(池)には亀やアヒルが暮らしており、特に大きなアヒルたちは池のほとりをのんびり歩く姿が印象的です。お洒落なカフェやレストランも多く、街歩きをしながら食事やコーヒーを楽しめます。ただし首都から近いこともあり、物価はやや高めに感じるかもしれません。
石畳の美しい街並みにはフォトスポットが点在し、思わずカメラを向けたくなる場所がたくさんあります。アップダウンのある地形ですが、半日から1日ほどでゆったり満喫できるちょうど良いサイズの町です。
サンタ・ルシア市(Santa Lucía)
テグシガルパから車でおよそ50分、首都近郊の日帰り旅行先として人気の町「バジェ・デ・アンヘレス(Valle de Ángeles)」。この町も鉱山の町として栄えた歴史を持ち、現在もその面影を感じさせる古い建物や街並みが残る、小さく落ち着いた雰囲気の町です。町の名前は日本語で「天使たちの谷」を意味し、その名の通りどこか穏やかで魅力的な空気が漂っています。
バジェ・デ・アンヘレスは特に手工芸品で知られており、陶器や革製品、木工品などを扱うお店が数多く並びます。市内だけでなくホンジュラス各地の特産品を取り扱う店舗もあり、帰国前に立ち寄ってお土産をまとめて購入するのにも便利です。
また、レストランやカフェも充実しており、週末には国内外から多くの観光客が訪れ、町は賑わいを見せます。コンパクトな町のため、半日ほどでも中心地をゆっくり楽しむことができます。近隣のサンタ・ルシア市やカンタラナス市とあわせて訪れるのもおすすめです。
バジェ・デ・アンヘレス市(Valle de Ángeles)
テグシガルパから車で南へ約1時間。首都近郊の日帰り旅行先として人気の町「オホホナ(Ojojona)」があります。先述の2市と同様に、週末には多くの観光客が訪れ、町は賑わいを見せます。ちなみに名前はナワトル語に由来しており、「緑がかった水の場所」という意味があるとされています。
オホホナは、カラフルな陶芸作品で特に知られています。昼頃になると多くの店が店先に商品を並べ、町全体がより一層色鮮やかな雰囲気に包まれます。同じような作品でも、店ごとに色合いや表情が少しずつ異なり、ゆっくりと自分好みの一品を探す楽しさがあります。また、店主も穏やかな人が多く、落ち着いて買い物を楽しめるのも魅力のひとつです。
サンタ・ルシア市やバジェ・デ・アンヘレス市と比べると、より静かで落ち着いた雰囲気が感じられます。一方で、石畳の街並みや豊富なお土産、コンパクトながら見どころの多い中心部など、観光地としての魅力も十分に備えています。名前の響きのかわいらしさも相まって、心地よく過ごせる小さな町です。
オホホナ市(Ojojona)
首都圏は人口が多いため、治安に懸念がある地域です。ホンジュラス人であっても町中を歩くことは避ける傾向にあり、流しのタクシーや市内を走る周回バスなどは利用していません。首都圏でこうした周回バスを日常的に利用している人の中には、実際にバス強盗の被害に遭った経験を持つ人が少なくありません。そのため、現地の人でさえ利用を避けるほど、犯罪の発生率が高い交通手段となっています。
また、コマヤグエラ地区は徒歩だけでなく、立ち入ること自体を避ける現地住民も多くいます。この地区はテグシガルパに比べて貧困層が多く住んでおり、犯罪の発生率が高い傾向にあります。ただし、地方都市へ向かう長距離バスの発着所がこの地区内にある場合もあるため、どうしても立ち寄る必要がある際は、Uberなどを利用してバス停の目の前まで移動し、すぐに建物内へ入るなど、細心の注意を払うことが重要です。また、午後3時を過ぎる頃から町の雰囲気が変わり始めるため、早めの移動を心がけることが勧められます。
首都圏は行政の中心地でもあるため、政府に対するデモや政党の集会などが行われ、道路封鎖や人だかりが発生することもあります。こうした状況に遭遇した際は、速やかにルートを変更し、その場から離れるようにしましょう。
首都圏を離れると比較的落ち着いた地域が多いですが、週末やフェリア(祭り)の際には、首都圏から多くの人が訪れるため、混雑やスリなどへの注意が必要です。
バス停付近のコマヤグエラ地区